東日本大震災6周年を迎えて
本学学長補佐の宮野道雄は、地震などの自然災害を対象とした地域防災を専門に研究してきました。東日本大震災発生時も、直ちに現場へ向かい、その後も調査を重ねています。震災から6年を迎えた今日、宮野学長補佐からのメッセージをお届けします。
発災から6年を迎えた東日本大震災の被災地は様々な復興の足取りをみせています。陸前高田ではようやく地盤の嵩上げが終わる中、被災地には35,000人もの人々が仮設住宅での生活を続けています。定期的に訪れている石巻では、市街地の内陸側に復興公営住宅が建設され、やや遅れて自力再建の戸建て住宅への入居が始まっています。戸建て住宅の建設地では大手の住宅メーカーから地元の工務店までが競うように建築を進めて、さながら住宅展示場の様相を呈していました。
一方、半島部では高台の住宅地が造成されたものの、住宅の建設が順調に進んでいるとは言い難い面があるようにみえました。このように東日本大震災の被災地全体を見渡しても復興の様相は複雑ですが、着実に進んでいくことを願っています。
ところで、東日本大震災での明るい話題としては、地元だけでなく被災地の外から移住した若者達が新しい試みを被災地の中で展開する姿を見ることです。このような動きを是非、復興につなげていってほしいと思います。
本学では東日本大震災発生以降、全学的に被災地支援および防災研究、防災教育を推進しており、平成27年3月1日に設立された「都市防災教育研究センター(CERD)」では、東日本大震災の教訓を活かして災害死ゼロを目指し、地域住民が自ら災害リスクを学習するためのツール開発や防災環境改善の実践、災害時の医療、避難生活における健康管理、避難に必要な体力の増進プログラムの開発などにも取り組んでまいりました。今後も全学を挙げて「いのちを守る都市づくり」を進めてまいります。